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民生用の録画装置が 現実的な価格で 手に入るように なったころ
百恵さんは 純白のマイクに わかれを つげました
　
とはいえ
普通のサラリーマンにとっては 安くない 買いものでした
自分自身の手で 彼女の映像を のこせた方が どれほど いたことでしょうか
ですが
うつろな想いに 心を 痛める日々も 長くは ありませんでした
幸いにも その後に 特集番組が 放送される機会は 少なくなかったからです
ビデオレコーダーを 所持していた方には うれしい 贈りものだった ことでしょう
百恵さんが 自分のためだけに 歌ってくれるのですから
至福のひとときを あきれるほど 堪能したことでしょう
でも
多くの方々は その喜びを 得ることが できなかった
ひと夜の幸福を 心に詰めて 次の特番を 待ちこがれた
　
現在は すばらしい 時代です
インターネットの 海には 懐かしい映像が いたるところに 浮遊しています
しかし
それらの 画質も 音質も 感嘆しうるほどの クオリティには 遠く及びません
当時の状況を 鑑みれば しかたありません
デジタル放送を 見慣れた現在では 哀愁に ゆらゆらゆれて 観るほか ありません
百恵さんの あでやかな 振る舞い しなやかな 歌声
深く 輝いた ひとみ
それらの映像に 遠い記憶を 重ねるごとに 悲しくなります
隔世の環境にあって なしえることは ないのか
こころの深奥に しまってある 鮮やかなスライドに 少しでも 近づけたい
強い 想いが わきあがってきました
　
もちろん
記録されたまま あるがままの 状態でも すばらしい 感動が わいてきます
百恵さんは 特別な 存在です
理由は 何であれ 神聖な 記憶を 傷つけては ならない
と
憤りを 感じる方も いらっしゃるかも しれません
べつべつのもので 創られたものであっても
ひとつ ひとつが 彼女であり
百恵さんの 歌声であることに 違いは ありません
愛情の 伝える「カタチ」は さまざまであり それぞれの『想い』で 表現するものです
いとおしむ 眼差しと 艶やかな 感性が あるなら
それは
伝わると 信じています
　
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