投稿日順 ライク数順 コメント数順 エンゲージメント率順写真動画複数枚｢#PR｣つき投稿「マリー・ローランサンー時代をうつす眼」（アーティゾン美術館） 1908年、ピカソ、ブラックらの知己を得たことでキュビスムの画家としてスタートした彼女。このキュビスム時代に表現はシンプルに、肌は白くなり、淡い色彩の幻想的な作風になっていったわけですが、詩人アポリネールとの失恋をきっかけにキュビスムから離れ、どのジャンルにも完全にコミットはしない、幻想的な作風のみが彼女の手元に残っていきました。 言葉で言えば「白い」「淡い」「幻想的」ではありますが、その画面からはむしろ堂々とした強さというか、そういうものをローランサンの絵には不思議と感じてしまいます。上述の失恋に加え離婚も経験していること、第一次世界大戦を受けて亡命していることなど、複雑な背景が彼女の絵に現れているのかもしれませんが… いずれにせよ、こういう芯の部分は「何を描くか」にあまり依存しない、影響されないということなのかもしれません。 今回のローランサン展は小さいながらも回顧展にも近い内容で、彼女と同時代の画家であるピカソ（7）やブラック（8）、藤田嗣治（9）なども展示。また、展覧会冒頭には学生時代、ピカソに出会う前の自画像（6、バリバリの写実！）、後半ではローランサンの静物画なども展示されておりました。海外美術館からのレンタルということで撮影NGでしたが、皿に載ったレモンと水差しのみというシンプルな画面ながら、陰影のディティールが良いなと思いました。 #japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #Laurencin #マリーローランサン2024/02/28に公開#japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#Laurencin#マリーローランサン10.74%1460「小さな版画のやりとり 斎藤昌三コレクションの蔵書票と榛の会の年賀状」（茅ヶ崎市美術館） 今回展示されていたものは蔵書票と年賀状。 蔵書票は書籍の盗難防止のため、本の見返し部分に貼られたもので、「紙の宝石」として、現在もコレクションの対象となっております。それを使った豆本なども展示されており、あまり古本でも出くわしたことが無いだけに（たぶん剥がされているんだと思います）、その存在にまず興味津々でした。 一方の年賀状は、1935年から約20年間活動していた年賀状交換グループ「榛（はん）の会」によるもの。有名どころでは棟方志功も参加していたこともあるとのことでした（今回は展示無し）。ちなみに投票で一番不評だった年賀状の作者は翌年参加できないというまあまあハードなペナルティがあり、そのせいなのか、ワンパターンではない工夫が凝らされているなと。柚木沙弥郎などの民藝を連想させる素朴なデザインもあればデューラーを彷彿とさせる細密でリアルな作品もあり、オーソドックスに干支を描くものもあれば、うさぎ年であれば亀、寅年であれば銀座とらや（和菓子店）を描いてくるようなツワモノも。 およそ80年前の作品ということもあり、文化史的な、時代の変化を知るという目線でも観れる作品群たちです。たとえば麻雀牌を描いているものが2つほど。家族麻雀にちなんで描いたと思われますが、今の日本であえて「正月の風物詩」として描かれることは無いですし、そういうところに時代の変化を感じたりもします。そもそも蔵書票も年賀状も、失われた、または失われつつある文化でもあります。抗いきれない側面もあるとはいえ、一つの「場」が失われる、そういう寂しさも感じるところでした。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り#版画 #木版画#茅ヶ崎 #茅ヶ崎市美術館 #看板が結露で見えなかったので半券を2024/02/22に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#版画#木版画#茅ヶ崎#茅ヶ崎市美術館#看板が結露で見えなかったので半券を5.08%690「中平卓馬 火－氾濫」（東京国立近代美術館） ハイコントラストな白黒写真で知られる森山大道の「盟友」として知られる写真家、中平卓馬。森山との関係性は重要で、特に初期、都市の路上という舞台、モノクロ写真における「アレブレボケ」という、一見乱雑な写真を肯定する「理論」を共有していた時期もあります（今回の展覧会でも中平のポートレートなど、森山の写真も数点展示）。 ただし、その「理論」が森山にとって座り心地が良かったのに対し、中平はそこからは離れ、「植物図鑑」と呼ばれる、よりナチュラルな写真に取り組んでいくこととなります。森山が都市に渦巻く「欲望」の姿を、美化を前提とせず具現化しようとしていたのに対し、中平の写真は都市においてもなお、何気ないものの中に潜む「美しさ」を追求されていて、「植物図鑑」へのシフトはむしろ自然な流れだったのかも知れません。 感想としても、「アレブレボケ」の初期よりも「植物図鑑」の時代の写真のほうが魅力的だと思いました。1970年代にアルコールが原因の言語・記憶障害となり、数年分の記憶が無くなる事態にも見舞われましたが、むしろその後の写真（1,8,9,10）はより純粋なものへと進化しているように感じました。表現が過剰かもしれませんが、以前東山魁夷展やゴッホ展の晩期を見たときの印象とも重なる、「芸術の豊穣」とも言うべき美しい世界。特に1枚目、見ようによってはなんでもない写真のはずなのに、彼の歴史を見たせいなのか、妙に感動してしまいました。 これから安井仲治も東京に巡回してきますし、森山大道は大小様々な展覧会が開催されています。スナップ写真は他の写真家との比較によって、より楽しくなっていくだろうと思います。素晴らしい展覧会でした。 ・ ちなみに今回は、中平自身がポスター形式の展示を行ったことがあったことにちなみ、今回のために新しくプリント、額装なしのピン留めで展示している作品がちらほらと。そういえば森山もバーにこういう感じで展示していたことがあったなぁと（ドキュメンタリーで見ました）。一点物の絵画ですとこうはいかないですけど、複製可能な写真だからこそできる「裸展示」というのは良いなと思いました。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #写真 #photography #中平卓馬 #TakumaNakahira2024/02/14に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#写真#photography#中平卓馬#TakumaNakahira10.23%1390ファン・グリス《ギターを持つピエロ》（1919.5） 一目見て「これは良いな（笑）」と。思わずニヤケてしまう、ユーモラスな可愛らしさがあります。 ・ グリスは元々風刺漫画家であり、ブラックらの影響を受けて本格的に絵画を始めたのは1911年。1927年に40歳で亡くなるまでの16年間、そのキャリアをキュビスムの為に捧げました。キュビスムの理論にはかなり忠実だったようで、ダリは「キュビスムの画家の中で最も偉大」とまで絶賛していたとのこと。 本作は1915年以降の総合的キュビスム時代の作品で、ギターのネックを持った人物の様子が明確に見えます。陰影を用いない平面的な描写が非常に特徴的。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #国立西洋美術館 #フアングリス #juangris #cubism #キュビスム展2024/01/16に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#国立西洋美術館#フアングリス#juangris#cubism#キュビスム展7.65%1040「新版画の沁みる風景 川瀬巴水から笠松紫浪まで」（川崎浮世絵ギャラリー） 改めて解説すると、「新版画」とは明治後期以降、渡邊庄三郎らの版元が中心となり、錦絵（多色摺り木版画）の復興・近代化を目指す動きの中で制作された木版画のこと。個人的には先月の吉田博を始めジャンルとして好きな分野ということもあり、展覧会が開催されればとりあえず出かけるようにしています。 そういう訳で既知の作品も増えてしまってはいるのですが、そんな中ノエル・ヌエットの作品3点に出会えたことは嬉しかったです（確か漫画家の江口寿史さんが気に入っていて、SNS上で詳細情報をフォロワーに尋ねていらっしゃった記憶があります）。新版画的な風景画の情感と色彩、西洋的なペン風のタッチが見事にマッチしており、日本人画家とは違う新鮮な感覚を感じました。 知名度的には残念ながらそこまで高くないようで、2019年に小平市にあるガス・ミュージアムが没後50年で展覧会を開催したのみ。もしよろしければガス・ミュージアム以外でも展覧会の開催を検討していただきたい、そんな作家の一人です。 伊東深水と川瀬巴水の描いた富士山を比較しているのも面白いです。どちらかと言えば深水の画面が面的で、水彩画のようなモワッとした、穏やかな雰囲気を感じるのに対し、巴水のそれは写真のようにディティールが詰まっており、キリッとした清澄感があります。 あまり注目してこなかった中で「お、これ良いな」と思ったのは名取春仙。舞台の一幕を切り取ったようなリアリズムの中に、俳優がキラリと輝く一瞬を捉えた見事な役者絵です。化粧の案配や指先にほんの少し乗せた赤色など、摺師の技量の高さも感じられる作品でした。ニッカウヰスキーなどの広告版画から転向し、戦後になってから新版画を手がけた奥山儀八郎もなかなか。湘南エリアから東京に行く人間にはおなじみの大船観音を題材に、素朴で味わい深い作品が展示されておりました。 浮世絵美術館としては定番とも言える新版画の展覧会。しかしその中にもちょっとマニアックかもしれない、様々な発見もある展覧会でした（写真は展示室外のパネルより）。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #浮世絵 #ukiyoe #新版画 #川崎浮世絵ギャラリー #川瀬巴水2024/01/15に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#浮世絵#ukiyoe#新版画#川崎浮世絵ギャラリー#川瀬巴水6.18%840クールベ《罠にかかった狐》（1860） #Japan #museum 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展示室もそんなライトに影響されたのか、展示室のパーテーション（中仕切り）も気持ち減らしていたのも印象に残りました。展示室自体がそこまで広いわけじゃなく、その割と情報量が多いので完全に排除というわけにはいかなかったみたいでしたが（排除したパーテーションもせいぜい全体の1/3程度）、展示する内容と展示室のデザインコンセプトが一致している（させようとしている）展覧会は見てて楽しいです。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #FrankLloydWright #建築2024/01/14に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#FrankLloydWright#建築8.83%1200ピカソ《輪を持つ少女》（1919） 1917年よりピカソは具象作品を手がける「新古典主義の時代」と呼ばれる時期に入っていくのですが、その頃にもキュビスムの作品を手がけています（ただし後ろに鏡のフレームが描かれており、そのスタイルは折衷的とされます）。立体感を醸し出す陰影の描写があまり見られないですが、近くで見ると各面の質感がザラザラだったりツルツルだったり。複雑な印象を与えてくれる作品です。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #ピカソ #Picasso #cubism2024/01/12に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#ピカソ#Picasso#cubism7.14%970シャルル・コッテ「行列」（1913、松方コレクション） プルガステル村（フランス、ブルターニュ地方にある村）の娘達。画面中央上部には聖母像（聖母子像？）が担がれているのがわかります。行進している女性たちに笑顔はなく、粛々とした雰囲気があります。調べた範囲では、毎年8/15に開催される聖母被昇天祭に伴う行進行事かなと思ったのですが、そこらへんの詳細についての情報は得られず。 ・ コッテはブルターニュに関する風俗を多く描いたことで知られる画家。人気は高かったようで、松方幸次郎はコッテの作品を多数購入しております（国立西洋美術館のデータベースで確認できる作品は29件）。黒を基調とした暗い色彩や画題の悲劇的傾向、クールベ的な「写実主義」のスタンスを継承している点などが特徴で、黒を多用することからメナールらとともに「バンド・ノワール（黒の一団）」と形容されました。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #cottet #cottet #コッテ #国立西洋美術館2024/01/11に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#cottet#コッテ#国立西洋美術館5.08%690ブラック《円卓》（1911） 展覧会のパネルでは原題を単に「The Pedestal Table」と紹介されていましたが、一般的な原題は「Nature Morte(The Pedestal Table) 」。所蔵するポンピドゥーセンターのデータベースが未整備のため不明点が残りますが、Wikipediaや一般的な海外アートサイトではこのタイトルで紹介されております。 Nature Morteは静物画のことで、pedestalは彫像などを置く台座のこと。Amazon.comでpedestal tableを検索すると、いわゆるベッド脇に置くサイドテーブルがpedestal tableとして紹介されております。英語・フランス語に詳しい人に裏付けを取りたいところですが、複数人が取り囲むイメージの「円卓（round table）」とはちょっとニュアンスがかけ離れているかもしれません。 展覧会で観たときは「なんで円卓の上部が爆発を…？」とか思っていたんですが、本来？のタイトルである「サイドテーブル上の静物」として見ると、中央にはバイオリンのネックとS字のホール付のボディ、その向かって右側には五線譜と音符、左側にはくるくるとまとめられた紙（おそらく楽譜）、横積みされた本などがおぼろげながら見えてきます。意味がわかると（発見の感動も相まって）一気に面白くなる作品です。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #braque #ブラック #centrepompidou #キュビスム展2024/01/10に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#braque#ブラック#centrepompidou#キュビスム展6.7%892ルオー《道化師》（1937ｰ38） ルオーにとって、道化師（ピエロ）は「人間の本性を明らかにする」という目的で選ばれ、生涯にわたって描き続けられた画題だったとのこと。国立西洋美術館所蔵では、同じく道化師を題材とした作品として《リュリュ（道化の顔）》（1952）という作品もあります（こちらは元々、梅原龍三郎が所蔵）。 作品のみならず、額縁も印象的。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #ルオー #rouault2024/01/09に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#ルオー#rouault4.71%640クールベ《波》（1870頃、松方コレクション） 作品パネルによるとクールベは山岳出身ということもあり、海というものは未知の存在であったとのこと。これを書いている私が海辺の出身で、また今の時代映像やらネットやらで海を知ることもできてしまう気がするので、こういうクールベの感覚はどこか新鮮に映ります。 パネルでは「画面からは物語要素が一切排除され、峻厳な自然の実装が客観的に捉えられてい」るとありますが、この力強い画面を選んだのはクールベ自身でもあります。その意味ではやはり主観的ですし、この絵を見て、画家自身の感じた感動まで排除したとは正直思いにくいです。「私は（見た事のない）天使を描かない」という言葉で知られるクールベですが、ありふれた生活や風景の中に、神や天使のように尊いものを見出していたのがクールベという印象です。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り2024/01/08に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り8.61%1170ブグロー（ブーグロー）《ガブリエル・コットの肖像》（1890） 描かれているガブリエルはブグローの弟子であるピエール・オーギュスト・コットの娘であり、ブグローの支援者でもあった彫刻家デュレはガブリエルにとって母方の祖父にあたります。本作はガブリエルが結婚した際、ガブリエルの母親にプレゼントされたもの。その後1983年にニューヨークでオークションにかけられ、複数のアメリカ人コレクターの手に渡ったのち日本人コレクターの手に渡り、2022年9月に国立西洋美術館の寄託となりました。 ピエールは1883年、ブグローが58歳のときに45歳で急死しています。ブグローはコット一家に対する親愛の念から、残された作品の国家買い上げを訴えていたようです。 ・ ちなみに名前のBouguereau、英語読みでは「ブーグロー」、フランス語読みでは「ブギョロ」に近い発音をするようです。国立西洋美術館では「ブーグロー」と英語読みで紹介されていますが、ひょっとしたら上述した作品の来歴が影響しているのかもしれません。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #bouguereau #肖像画 #Portrait2024/01/07に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#bouguereau#肖像画#Portrait5.74%780「みちのく いとしい仏たち」（東京ステーションギャラリー） 江戸時代、有名無名を問わず素人が作成した木彫の仏像の数々。こうした仏像のうち、東北のものは厳しい生活に置かれた人々の反動だからか、優しく微笑んでいるものが多いんだそうです。技術的完成度もその「仏師」の技量によってだいぶピンキリで、お寺に飾られている豪華絢爛な仏像とは違った、素朴な魅力があります。感覚としては馬や家などをかたどった形象埴輪を観るときと近い感覚があるのかもしれません。作品に技術が伴わずとも、むしろ技術が伴っていないからこそ、観る側の心の、きつく絞めてしまったネジを緩めてくれると思います（特に今年は大変な年明けとなってしまったこともあり、そのありがたみを痛感しています）。 美術館で開催されている以上、後世の我々はこれらを芸術・美術として観ている部分が少なからずあると思いますが、本来は信仰の手段、一つの道具として制作されたもの。それを制作すること自体もひとつの信仰ですし、作られたあとも、厳しい環境で生活する東北の人々を精神的に支える存在となり、そして「話し相手」になってくれた存在です。 既に制作されて数百年が経過している作品は、その多くが乾燥等によって大きくひび割れてしまっていますが、個人的にはそこにこそ、この仏像達が果たしてきた「役目」を感じていました。とりあえずの役目を果たし、芸術作品として"隠居"する現在の姿を観て、「お疲れ様」とも声をかけたくなる作品群です。 ・ ちなみに既に一回、京都・龍谷ミュージアムを訪れていたこともあり（2023/10/8の投稿参照）、東京展は「どうしようかなぁ」ぐらいのつもりだったんですが、訪れた方の評判がとても良かったので再訪することに。元々の展示資料も素晴らしいのですが、京都展とはだいぶ違う、展示手法の違いに驚きました。ガラスケースを用いない裸展示が多く、作品・資料に触れられずとも親近感を感じられる距離感、そして開放感。元々駅舎をリノベーションして設立されたギャラリーとの相性も良く、木のフローリングすら、作品とよくマッチしていると思いました（農村部に畳が普及したのは明治以降のため、むしろ当時の感覚に近い環境で展示されているとも言えます）。 作品とギャラリーの相性というものはどうしても避けられないものですが、今回はそれが良い方向で顕著に現れた展覧会だと思いました。良質な展覧会を続けてきた本ギャラリーの地力の高さを感じます。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #仏像 #みちのくいとしい仏たち #東京ステーションギャラリー2024/01/06に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#仏像#みちのくいとしい仏たち#東京ステーションギャラリー12.07%1604「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展－美の革命」（国立西洋美術館） 展覧会で使われていた言葉を使うと、すでにある現実の模倣から離れ、新たな現実の創造へと向かっていったのがざっくりとしたキュビスムのイメージ。ただそれだけに同じギターを描かせても従来の絵画は実物に近いそれが描かれる一方、キュビスムのギターはまともな色も形もない、ただの線の集積が描かれてしまうこともあります。 その難解な線の集まりが「分析的キュビスム」と呼ばれる初期～中期のキュビスムで、そこからパピエ・コレ（コラージュ）、文字、色彩が復活した、比較的分かりやすい「総合的キュビスム」へと移行していきます。デフォルメの一手法として収斂してしまった感もちょっと否めないのですが、分析的キュビスムで純粋なそれを突きつめたからこそとも言えると思います。 今回の展覧会は数多あるキュビスム展のなかでも、比較的見やすいほうだったと思います。総合的キュビスムの紹介比重を増やし、またサロンでもキュビスム的表現を取り入れたケースなどを紹介。キュビスムを難しく考えさせるのではなく、より広い層に親しみやすく構成されているように感じました。一昨年開催のピカソ展に関し、ゴールデンタイムのトーク番組で出演者の1人が「分からなかった…」と肩を落としていることもあったので、今回はその点を意識したのかもしれません。 それでも難しい部分が全くないとも思わないのですが、そうした「よくわからない」の対処法として、描かれているものを2Dの画像ではなく3Dの立体物として存在している状況を想像し、その触覚を手に想像してみる、というのはあるかもしれません（もちろん実際に触っちゃダメですけど）。そもそもキュビスムはセザンヌの後継ですので、セザンヌで言われている多視点や複数の遠近法を用いた立体感の演出など、そういった特徴はキュビスムにも同様に見受けられます。 例えば今回のキービジュアルであるドローネー《パリ市》(2)は頭の中で絵に触り、ガラス細工のような不安定な表面が魅力的。同じくドローネー《都市 no.2》(1)は多視点、正面からだけではなく左右からの鑑賞を通じ、あたかも実物がそこにあるかのような立体性を感じられる作品かと思います。クプカ《色面の構成》(3)はドレス姿とみられる女性をモチーフにした作品。暖色の構成が黄昏時の温度を醸しており、珍しく色気のあるキュビスム作品となっております。触覚を意識することで、色彩がもたらす温度とか、そういうものにも気づいてくれるかと。 能動的に鑑賞をしようとすればするほど、キュビスムの作品はそんな観客の要求に応えてくれるような気がしています（逆に、印象派の風景画のように「落ち着いて観たい」という時には向かないタイプの芸術なのかもしれません）。今回は間口を広げている分、従来のキュビスム展では感じられないキュビスムの魅力を感じられる（かもしれない）、面白い展覧会でした。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #cubism #キュビスム #国立西洋美術館 #現代芸術 #ContemporaryArt2024/01/05に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#cubism#キュビスム#国立西洋美術館#現代芸術#ContemporaryArt14.13%1920今年は京都・相国寺承天閣美術館で開催された「若冲と応挙・Ⅰ期」を。 なかでも円山応挙の描く〈七難七福図巻〉がひどく印象に残りました。災厄から逃げ惑う《天災巻》、人が人を害しあう、凄惨過ぎる世界を描いた《人災巻》のあとに訪れる、《福寿巻》の幸福な世界。元々祐常という僧侶の注文を受けて描いた作品で、民衆の連帯・教化を意図した作品という面があるとはいえ、自分自身のここ十数年の経験・記憶とも重なり、そして今も考えさせられる作品です。 怖い作品であることには違いないですが、おそらく応挙にしかできない、真正面から「世界」を受け止めた作品。機会があれば是非とも観ていただきたい作品と思い、紹介いたしました（2016年に根津美術館での展示履歴あり）。 ・ 個人的なトピックスで言うと、今年は通信で芸大のアートライティングコースを卒業。その卒業制作の過程で「博物館学」を勉強したいと思うようになり、ついでに学芸員資格を取るためにもう一年。現在、最後の1単位が結果待ちという状況ですが、とりあえずやるだけのことを1年で無事やりきれたことに安堵しております。 スクーリング先の京都では本物（多分江戸時代、琳派の絵巻物）の作品に直接手で触れ、授業の一環で実際に展覧会の企画・プロデュースを行うこともしたり。作品位置について指示を出したり、責任者の一人として手厳しい指摘を受けたり（今でも悔しい…）、非常に貴重な経験もできました。 コロナ禍で、受けようと思っていた資格試験が中止になったことをきっかけに選んだ大学通信部への進学。独学では知り得なかったことを知る、非常に大きな機会になってくれました。この数年の経験が自分自身にも、このブログ使いしているInstagramにも良い風に反映してくれたらなぁと思う次第です。 一年ご覧いただきありがとうございました。 皆様もよいお年を。 #Japan #museum #JapaneseMuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り2023/12/31に公開#Japan#museum#JapaneseMuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り7.06%942「北斎と門弟たちの藤沢・江の島」（藤沢市藤澤浮世絵館） 実に四連続で浮世絵展となりましたが…。 江戸日本橋から、京師（京都）三条大橋までの宿駅を描いた「東海道五十三次」というと歌川広重のイメージが強いですが、葛飾北斎（1-3）も同様の題材に挑んでおります。ただし風景画としてまとめることの多い広重に対し、北斎のそれ、《春興五十三駄（えき）之内》は風俗画。ある時期まで旅行経験が無かったことが影響しているとのことです。今回展示されていた作品は割と「北斎漫画」のテイストに近いというか、穏やかな側面が目立っていたように感じます。この部分は魚屋北渓（4-5）や昇亭北寿（6）に上手く引き継がれてもいて、どちらも魅力的な作品に仕上がっていると思いました。極端に空間を見せたがる広重ともまた違う雰囲気です。 別の常設コーナーでは、時期的なこともあり七福神図が展示。そういう場所で広重の七福神図（7）が展示されていることは普通ですが、その隣に作者不詳の模倣作品（8）が展示されているのはちょっと笑えてしまいます。色こそ広重よりも濃厚で、模写したとすれば描けている部類ではありますが、衣服などの模様のディティールが全然違いますし、広重版がどこか妖しいテイストをまとっているのに対し、模写版はもう少しポップにまとめた印象（味とも言えますね）。直前に「深掘り！浮世絵の見方」（太田記念美術館）を観に行ってた影響もあって、改めて広重（および彼の錦絵制作チーム）の技術力の高さも感じました。国芳（9）、国貞（10）による美人画も二人の個性が出た、「さすが」の作品。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #歌川国芳 #Kuniyoshi #歌川豊国 #toyokuni #葛飾北斎 #北斎 #Hokusai2023/12/27に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#歌川国芳#Kuniyoshi#歌川豊国#toyokuni#葛飾北斎#北斎#Hokusai4.78%650「深掘り！浮世絵の見方」（太田記念美術館） 通常、錦絵（木版多色刷りの浮世絵）は絵師のみで完結することはなく、絵師の指示をもとに版木の制作を行う彫り、そして摺りの二つのプロセスを経て世の中に流通します。今回はその技術的側面にスポットライトを集めたもの。 初心者でも楽しめる内容ですが、今回の展覧会内容の全てを「知ってるよw」と通り過ぎることのできる鑑賞者は相当のベテランか本職（研究者・コレクターetc.）かでしょう。化学染料のベロ藍について、絵を版木に彫る際に使用する版下絵について、使用による木版の劣化、摺りの際、摺師が動かすバレンの方向…こうやって見ると、錦絵というのは一種の工芸品で、同じ作品でも一つ一つに個性が備わっているものなんだと思わされます。 興味深かったのはまず「版下絵」の存在。通常版木に貼り付けて彫りが行われるため、これが完璧な状態で残ることは無いのですが、稀に制作自体が中止になるなどして、版下絵が残ることもあります。今回はそうした作品のうち、歌川国芳・国貞による版下絵などが展示されていましたが、画材は線描用の筆一本、線も十分に整理されていない絵師の描線は、描く姿が想像されるほどにライブ感があります。アシスタントも入っていない、純度の高い真筆であると想像され、その意味でも貴重なものを見させてもらいました。 彫り師による彫りの技術も、改めて見せられるといかに凄いかが感じられます。ハッチング（複数の平行線を描きこみ、絵に濃淡をつける技法。錦絵では髪の生え際等に用いられる）自体は描く分にはそこまで難解な技術ではありませんが、彫る分になるとなかなかどころじゃなく大変な作業。イメージとしては自刻で偽札を作るぐらいに大変で、それをやり遂げてしまう彫師の技術力にはただただ頭が下がるばかりです。 摺りに関しても細かな話が続きます。木版自体の劣化という問題もありますし（線が太くなる）、立体感を出すために10平方ミリメートルにも満たない陰影を加えたりもする。一方で錦絵も摺りが繰り返されるなかでリアレンジが加えられるようで、色や柄自体が変更されたり、雲が描かれない、単純に版がズレているというような「手抜き」が行われてしまうケースもあります。錦絵の色指定は作者が行っているので、そういう意味では若い版を見た方がより作者のイメージに近いと言えるのかもと思いました（これは錦絵に限らず、同じく原型が劣化するもの、例えばブロンズ像でも同じことが言えます）。 これだけでもだいぶお得感のある展覧会でしたが、作品の中身についても言及があり（定番の判子エピソードから北斎《冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の分析、幕府からの規制逃れの方法に至るまで）、普段はミュージアムトークの会場使われる地下1階を展示室にするほどのボリューミーな展覧会。既に展覧会は終了していますが、不定期で継続開催するか図録を作るか、はたまた巡回しても良いと思うぐらい、面白くて有益な展覧会でした。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #浮世絵 #ukiyoe #太田記念美術館 #原宿2023/12/26に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#浮世絵#ukiyoe#太田記念美術館#原宿9.05%1230「吉田博 木版画の100年」（MOA美術館） 吉田博が木版画制作を本格化するきっかけとなった外遊から今年で100周年とのこと。吉田は全版画集を持っているぐらい好きな画家の一人で、MOAのコレクションが群を抜いて優秀なのも承知しているので（版が若く線がシャープで、画面のクリアさが段違いです）、今回は音声ガイドを使用しました。BGMなし、淡々と語る男性ナレーターの音声が非常に心地良いです。 吉田が特に重要視したのは対象に対する「体験」。（吉田曰く）ストーブに当たったままでは感じることのできない場の空気・温度を感じるため、吉田は積極的に山に登り舟に乗り、描く相手との関係性を深めていきます。吉田の富士山が恐ろしく美しいのも、剱岳の朝焼けに静かな感動が伴うのも、きっとその体験が反映されているからなのかも知れません。対象の形を単にトレスするだけでなく（それだけを見ても相当の技量ですが）、細やかな光彩など、場の空気感・雰囲気を表現するための細かい彫りの技術も素晴らしい。 芸術学の一般論として、体験が絶対必要ということは無いと思いますが、確かに吉田の作品は風景画・風俗画が基本で、歴史画・宗教画を見た記憶がありません。その点はクールベの写実主義と重なるところもあり、現実世界の中に潜んでいる「感動」を表現した点も重なります。映像展示ではその手法を「東洋的」と表現していましたが、個人的には写意（東洋）と写実（西洋）の結婚を果たした、絵画としての理想形を感じました。 今回は細かい彫りの施された版木や現在の風景写真との比較展示もあり、展示数70とそう多くないながらも（数年前の巡回展が確か240とか）、吉田博の作品をどっぷり堪能できます。MOA美術館は観光地にある関係上、風光明媚な観光地の一つとして巡ってくるお客さんも多いと思いますが、老若男女問わず、だいたいのお客さんが「すごい」「これが大正時代の作品？」と舌を巻いていたのが印象に残りました。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #熱海 #atami #吉田博 #HiroshiYoshida #浮世絵 #ukiyoe #新版画2023/12/20に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#熱海#atami#吉田博#HiroshiYoshida#浮世絵#ukiyoe#新版画10.15%1353「楊州周延－明治を描き尽くした浮世絵師」（町田市立国際版画美術館） 戊辰戦争時代は「神木隊」を結成して新政府軍と交戦、重傷を追った経験があり、そして明治以降は浮世絵師として、新版画が登場するまでの過渡期を支えた男、楊州周延（本名、橋本直義）。 周延の師匠に粗相をした河鍋暁斎に刀を抜いたというエピソードもあるなど、そのマインドは非常に武士的。しかし戦争画を描いても血みどろ絵・無残絵を描かないなど、彼独自の倫理観を感じるのも確かです。「明治を描き尽くした」のは事実だと思いますが（浮世絵として伝統的な）種本の存在が指摘され、また彼が実物を観たと思えない題材もあり、そういう手法で描かれる作品は"実は"多分に主観的で、そして個性的にも映ります。コンセプトだけで言えば、山口晃に近い部分もあるのでしょうか。 こうしたマインドが美人画と相性が良かったのは（一見真逆なようでも）おそらく自然な流れで、造形のみならず、その色彩や構図も光っています。蛍光色のような水色やピンクをこうも効果的に使えるのはおそらく周延ぐらいですし、時に平行的、時に三角構図と、構図に対する意識、また対比を意識した描き方も光ります。しかしそれ以上に特徴的なのは、寸分の狂いも観られない丁寧すぎる仕事ぶりかもしれません。今回のコレクションが優秀なのか、後期になるに連れ、作品が非常に洗練されていく印象を持ちました。 自画像・肖像画・写真の類は一切なく、橋本直義として《長州征討行軍図》という、並び順の絵記録を残しているのですが、自分のみを背中向きにし、顔を描かないようにするほどの徹底ぶり。浮世絵師として明らかに異色の存在、そしてスタンスを持ちつつ、あくまで「画工」としての良質な仕事に徹する姿が印象的でした。巡回は難しそうですけど、一人でも多く、周延の魅力が伝われば良いなぁと思ったり。 展覧会は明日（12/10）まで。 #japan #museum #japanesemuseum #instaart #art #artexhibition #美術鑑賞 #美術館巡り #美術展巡り #浮世絵 #ukiyoe #楊州周延 #Chikanobu #異例の1日2投稿2023/12/09に公開#japan#museum#japanesemuseum#instaart#art#artexhibition#美術鑑賞#美術館巡り#美術展巡り#浮世絵#ukiyoe#楊州周延#Chikanobu#異例の1日2投稿9.27%1242<前へ12345...6>次へ×インフルエンサーコンテンツCSVダウンロード現在設定されている期間・絞り込みで上位1000件までが反映されますダウンロード※ データには投稿ID, キャプション, LIKE数, コメント数の他、投稿日, 投稿URL, Reel再生数, Reel動画尺, スクリーンネーム, 名前, 自己紹介, フォロワー数, ユーザーURLが含まれます。 コンテンツをCSVでダウンロード
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