コンテンツ種別写真動画複数枚｢#PR｣つき投稿 関連投稿国 指定なしメキシコ 関連都道府県 指定なし 並び替え投稿日順 ライク数順 コメント数順 エンゲージメント率順El 9 de febrero a las 18:00, como clausura de la exposición individual 〈Sobre Los Ombligos de Este Planeta〉, tendrá lugar en la Fundación Sebastián la performance 〈Un Planeta Neoténico〉en colaboración con el artista Lesdavag. El acto tendrá lugar en la Fundación Sebastián. La entrada es gratuita. Esperamos contar con su presencia. 〈Un Planeta Neoténico〉 Lugar: Fundacion Sebastian Av. Patriotismo 304, San Pedro de los by Pinos, Benito Juárez, 03800, Ciudad de Mexico, CDMX Fecha: Domingo 9 de febrero a partir de las 18:00 Dirección: Maki Ohkojima, Lesdavag Leído por Aki Kawakami Asistencia de traducción: Norihisa Arai 2月9日18時より、個展《Sobre Los Ombligos de Este Planeta》のクロージングイベントとして、アーティスト・Lesdavagとのコラボレーションによるパフォーマンス《Un Planeta Neotenico》をFundacion Sebastianにて開催します。 入場無料となっております。皆様のご来場をお待ちしております！ 《Un Planeta Neoténico》 会場: Fundacion Sebastian Av. Patriotismo 304, San Pedro de los by Pinos, Benito Juárez, 03800, Ciudad de Mexico, CDMX 日程:2月9日（日曜日）18時から 演出:Maki Ohkojima, Lesdavag 朗読:Aki Kawakami 翻訳協力:Norihisa Arai @fundacion_sebastian @lesdavag @_akikawakami @norinho10302025/02/04に公開Fundacion Sebastian A. C. メキシコ 2.59%1291El 6 de febrero a las 16:00 h, realizaremos una proyección de nuestro cortometraje 《CHIKATO》 en COLMEX (Sala Rodolfo Stavenhagen), en la Ciudad de México. @ceaacolmex Esta obra es un mito creado inspirado en la cultura de caza y el animismo del archipiélago japonés. Después de la proyección, llevaremos a cabo una charla sobre la película. La entrada es gratuita, ¡los esperamos! ¡Hablaré con #satomimiura y @norinho1030 !2025/01/31に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/satomimiura#satomimiura3.42%17202025年1月21日から4月20日まで世田谷文化情報生活センター・生活工房にて開催のグループ展《PART OF THE ANIMAL 動物と人間のあいだ》に私たちも参加しています。 “太古の昔から人間は、動物をえがく／動物とえがく／動物でえがく、といった表現を続けてきました。本企画は、絵に描くだけはでない、詩や音楽や、演劇、踊りをも包括した〈動物をえがく〉ことについて、人類学・芸術学・生物学・比較文学の研究者たちが世界をフィールドにおこなった調査や、アーティストたちの思索をたどりながら「動物と人とのあいだ」の回路をひらく展覧会です。 私たちはなぜこんなにも動物に惹かれ、憧れるのでしょうか。本物に遭ったら怖いけれど、クマのぬいぐるみは大切な友だち。半人半獣のモンスターゲームに自分を重ね、ミツバチの羽音から音楽を生み、遠洋のクジラの一生を想う……。動物は人間の情動やイマジネーションの源泉であり、動物と人間のあいだには数多の神話や寓話が生まれ、その物語の続きに私たちは暮らしています。かたや多くの人々は、狩猟採集の生活から離れ、人間が中心／頂点であると考え、自らの生きる環境をも壊す事態を引き起こしています。 今こそ人間は「動物の一部（一員）である私たち」という感覚を取り戻し、他の動物たちと交歓する必要があるのではないか—。本展では、その問いのもとに、アーティストたちが制作した絵画やインスタレーション作品、研究者たちが調査地で採集した資料、映像などを展示し、そのまじわりの様相や可能性を体感していただきます。また会期中にトークイベントやワークショップも開催し、動物と人とのあいだに起こる身体的・精神的変化も考察します。” 本展協力の研究者・アーティスト（五十音順） 五十嵐大介（漫画家）、 石倉敏明（人類学者）、大石侑香（エスノグラファー）、大小島真木（アーティスト）、小田隆（画家、イラストレーター、大学教員）、ケイトリン・コーカー（ダンサー、人類学者）、鴻池朋子（アーティスト） 、齋藤亜矢（認知科学者）、管啓次郎（詩人）、菅原和孝（人類学者）、竹川大介（人類学者、漫画家）、長坂有希（アーティスト ）、永沢碧衣（アーティスト）、西澤真樹子（なにわホネホネ団 団長、大阪市立自然史博物館外来研究員）、丹羽朋子（人類学者）、根本裕子（陶芸家）、長谷川朋広（ゲームクリエイター、アートディレクター）、盛口満（作家、イラストレーター、理科教師 ）、山口未花子（人類学者）、吉田ゆか子（人類学者） 関連書籍情報 展覧会協力の研究者・アーティストたちによる書籍『〈動物をえがく〉人類学 ー 人はなぜ動物にひかれるのか』が岩波書店より出版されています。 《PART OF THE ANIMAL 動物と人間のあいだ》 会期：2025年01月21日（火）～2025年04月20日（日） 時間：9:00～21:00 月曜休み(休日は除く) ／入場無料 会場：生活工房ギャラリー(3F) https://www.setagaya-ldc.net/program/602/2025/01/27に公開- 指定なし7.02%3512諏訪信仰、諏訪芸能の源流に迫る、弘理子監督のドキュメンタリー映画『鹿の国』にビジャアルを提供させていただきました！現在、日本各地の劇場で絶賛公開中です！ 私たちは2022年にアートコモンズ〈対話と創造の森〉の茅野レジデンスに参加させていただいて以来、諏訪には特別な思いを寄せて参りました。2023年には諏訪滞在の成果として《千鹿頭》展も開催し、また映像作品《千鹿頭》は日本から遠く離れたメキシコにおいても上映され、諏訪の息吹を世界にこだまさせつつあります。 『鹿の国』は私たちでは到底及ばない、長く、そして深いリサーチのまたとない結実です。諏訪、いやこの日本列島に少しでも関心のある方は是非とも観るべき作品だと思います。 パンフレットには描きおろしのビジュアル、そして私たちが諏訪で鹿狩りを行った際の情景を綴った小文も寄稿しております。 映画内の諏訪芸能を再現したシーン、私たちの目にはスワニミズムの皆さんらと楽しそうに歌い踊っている田中基さんの姿が、はっきりと見えました。あの大きな手の平を縦横に広げて。雨上がりの蛙みたいな笑顔で。 監督：弘理子 プロデューサー：北村皆雄 撮影協力：諏訪大社 製作・配給：ヴィジュアルフォークロア shikanokuni.vfo.co.jp/?fbclid=PAZXh0… @shikanokuni_film @riko_deer2025/01/18に公開- 指定なし44.0%2,2094メキシコシティ初個展《Sobre Los Ombligos de Este Planeta この惑星のへその上で》（En Sebastian Fundacion A.C）が会期スタートいたしました！ 今回、私たちは日本とメキシコが共に四つの大陸プレートの境界に位置していること、それゆえに火山帯の地震多発国であることに注目し、そうした地質的特異性と両地域が共有している（ように私たちが感じている）「諦念」との関係、そしてその諦念の先にある「祈り」へとフォーカスした作品群を展示しています。 初日は想定していた以上に多くの人たちにご来場いただき、様々な感想も聞かせていただきました。私たちが勝手にそうと感じた「メキシコ」像の表現が、実際にこの地で生まれ育った人たちにどのように受け止められるのか、正直ハラハラしていたところもありましたが、どの方も想像以上の深度で作品を受け止めてくださっていて、本当に充実した初日となりました。 会期は2月9日まで。私たちのメキシコ滞在の集大成的な展示となっていますので、メキシコシティにお立ち寄りの際は是非お越しいただきたいです。 本展とは直接の関係はないですが、2月6日にはメキシコ大学院大学COLMEXにて私たちの映像作品《千鹿頭》の上映会も開催されます。UNAMに引き続き二度目のシティでの上映。今回も上映後には質疑応答を含めたトークを行う予定です。 また展覧会最終日の2月9日には会場にてなんらかのイベントも行う予定でいます。いずれも予定詳細が決まり次第、またお知らせいたします。 早いもので私たちのメキシコ滞在も残すところあと1ヶ月とちょっとになりました。最初の頃はいささか戸惑いも感じていた「VIVA MEXICO!」の掛け声も、今なら迷いなく共に声をあげられる気がします。「VIVA」は「万歳」と訳されることが多いですが、ラテン語における元の意味は「生きている」だそう。「メキシコよ、生きろ」。死者の日の祝祭やサンタムエルテなど、死のイメージが強いメキシコですが、一方ではお祭りなどがあるとその度に「生きろ」の掛け声が盛んに唱和されるんです。その掛け声はきっと、国家の栄光を闇雲に讃えるようなものでも、自分たちの歴史を威勢よく誇るようなものでもなく、数多の死を、数多の痛みを引き連れて、それでもなお生を繋いでいこうという、無力で、無責任で、それでいて逞しく、美しい、ひとつの祈りのようなものなんだと感じます。 性懲りもなく、何度でも。アイロニーと愛を、存分に込めて。 VIVA MEXICO!2025/01/13に公開- 指定なし6.68%3315Este sábado (11 de enero) se inaugura nuestra primera exposición individual en la Ciudad de México, titulada "Sobre los Ombligos de Este Planeta", en la Fundación Sebastián (CDMX) ! A partir de las 17:00 horas del día 11, llevaremos a cabo una recepción para celebrar la apertura. Esta exposición es nuestra forma de expresar, a través del arte, lo que hemos sentido y experimentado durante nuestros 10 meses de estancia en México. Les esperamos en el lugar, ¡será un honor recibirles! 今週土曜日（1月11日）、メキシコシティ初となる個展《Sobre los Ombligos de Este Planeta》がセバスチャン・ファンデーション（CDMX）にてスタートします。11日の17時からはレセプションパーティーも開催します。私たちが約10ヶ月間の滞在で感じた「メキシコ」を一つの展示という形において表現してみました。 会場でお待ちしておりますので是非お越しください！ ＊ 【Maki Ohkojima Solo Exhibition】 《Sobre los ombligos de este planeta ― この惑星の臍の上で》 En Fundacion Sebastian｜Av.Patriotismo 304, San Pedro de los by Pinos, Ciuda de Mexico 11.Enero.2025 - 09.Febrero Lunes a Viernes de 10:30 a 18:00h Sabados de 10:30 a 14:00h Cerrado los domingos recepción de la exposición 11. Enero 17:00〜20:00 @fundacion_sebastian2025/01/09に公開- 指定なし2.72%1361明けましておめでとうございます！2025年もどうぞよろしくお願い致します！ メキシコで過ごした2024年、たくさんの得がたい経験を得ることができました。今年はそれらの記憶をたずさえつつ、日本においても多くの展覧会、芸術祭に参加させていただく予定です。9月には個展も開催いたします。乞うご期待！ 早速、1月にはメキシコシティにおける初個展《Sobre los Ombligos de Este Planeta》の開催、生活工房（東京・世田谷）でのグループ展《動物と人間のあいだ》への参加（こちらは先行して関連書籍も出版されています）が決まっています！ イメージビジュアルを提供した弘理子監督の映画『鹿の国』も1月2日より公開されているとのこと！ 本年もふたたびこの惑星において皆さんと同じ時間を共にできるということ、とても嬉しく思っております。どうかよいお正月をお過ごしください。2025/01/03に公開- 指定なし14.04%6979（承前） 君も来たいと言ってくれていた僕らの去年の個展で、まさに僕らはそのテーマに向き合っていたんだ。その展示で僕らは、日本列島が惑星の臍の上にありそれゆえに過酷な災害列島であるという事実が、日本の精神性の形成に寄与していると仮定した上で、その精神性を「根源的不能性-Radical inpotency」と言い表してみたんだ。奇妙な言葉だろう？ もちろん、僕らの造語さ。その言葉で僕らが言い表したかったもの、それは日本の民が抗うことのできない自然の猛威に対して抱いてきた不能感、それゆえの受動性、そして諦念についてなんだ。もっと言うと、日本列島においては能動と受動が対立関係にあるのではなく、相即関係にある。要するに自他の境界がすごく曖昧で、主体性が確立されてないってことさ。君も日本に来たら多分それを感じるだろうと思うよ。 僕らは日本の「微笑」もまた、この根源的不能性の一つの表象だと思ってる。そして―ここがとても大事なことなんだけど―その素顔なき仮面に込められているものは、どこまでもままならぬこの世界において、その世界とそれでも和解したいという、日本人の祈りなんじゃないかって思ってるんだ。 人為を含む自然のなかで、乗り越えることが難しい不条理に立たされた時、僕らにできることは祈ることくらいしかない。祈りはある一つの世界との関わり方だけど、それは根本的に無力なものだよね。無力というと何か否定的な意味に感じるかもしれないけど、僕らはその無力さのうちには光明もあるって思ってるんだよ。たとえば日本語において「諦める」という言葉は「明らかにする」と同じ語源であると言われていたりもする。つまり、祈りとはその諦念のなかで何かを「明らかにする」行為でもあると言えるんじゃないか、そう思うんだ。 そう、僕らはメキシコにもまた、日本のそれと似たような精神的土壌があるんじゃないかって睨んでいるんだよ。確かにメキシコは多様な文化、多様な民族性を持つ国だし、一見するとバラバラのようにも思える。でも、そのバラバラさの中にも共通したものがあるように感じてるんだ。それはメキシコ人が世界に対して示している、ある種の「軽さ」だ。それは軽快さとも言うことができるけど、同時に軽薄さとも言うことができる。君たちが歩んできた歴史のあまりの「重さ」を前にしたとき、その軽さが否応なしに際立って映る。不躾に感じたかな？ ただ、僕らはそうしたメキシコの「軽さ」の根底には、透徹した諦めの観念と、それゆえの祈りが横たわっているように感じてならないんだ。 この約10ヶ月間、僕らはメキシコの各地を旅して回ったんだけど、その中でも印象的だったのは、メキシコ各地の祭りで見た、無数の微笑するヴィルヘン（聖母）と、そのヴィルヘンに祈りを捧げている多くの人々の姿だったんだ。歴史の重みを湛えたその微笑はいずれもとても厳かだった。豪奢な教会で、うらびれた街路で、子供達が遊ぶ公園で、窓から見える民家のリビングで、深い沈黙を携えて屹立するその姿は、あたかも破裂し、寸断されたメキシコの大地を、その一身において繋ぎ止めているかのようだった。もちろん、僕たちはその存在が孕んでいる複雑な歴史についても知っているし、それがこの地で時に「麻酔薬」として用いられてきた経緯についても聞いている。だけど、それでもなお、メキシコを象徴しているかのようなその微笑に、美しさを感じずにはいられなかったんだ。その微笑の奥に、そしてその微笑に包まれて生きているメキシコの人々に、この地を覆っている諦めの先にある光明を感じずにはいられなかったんだ。 ああ、分かってるって。複雑な物事をすぐにこうやって大きく捉えようとするのは、僕らの悪い癖だよね。もちろん、僕たちはいまだメキシコの「ある部分」しか知らないわけで、だからここに書いたのは、あくまでも未完の、そして僕たちのフィルター越しに光学的な歪みを伴った、架空のメキシコ像なんだと思う。そして、きっとそれはどれだけ僕らがメキシコに長く住んだとしても、永遠に「未完」の、「架空」のままなんだと思う。 でも、実際のところ、君はどう思うかな？ 僕らと君たちはぱっと見はあまり似ていないけれど、共にこの惑星の臍の上で生きる、どこか似たような形の「不能」さを抱えた兄弟同士のようには思えないかな？ 同じ穴のムジナってやつさ。次会った時には是非このことについての君の考えを聞かせてほしい。いずれにしても、いまや僕たちはすっかりこの地と、この地の人々の微笑に魅せられてしまっているんだ。きっとこの先も長い付き合いになるんじゃないかと思ってるよ。 あ、今、外で花火の音が聞こえたよ。どうやら今夜はメキシコにとってとても大事なヴィルヘンを祝う祭りの夜らしいね。この手紙を書き終えたら僕らも少しだけ街に繰り出してみようと思ってる。きっと君のことだから今頃どこかの街で、この祭りの夜に乗じて大いに飲んだくれているんだろうね。はしゃぐのもいいけど、夜道はまだまだ危ないらしいから、くれぐれも気をつけるんだよ。君にもう会えなくなってしまうなんて、あまりに寂しすぎるってものだからさ。 2024年12月12日、敬意を込めて、“M”より ************ @fundacion_sebastian2024/12/28に公開- 指定なし3.0%1510メキシコシティで個展を開催します！ ¡Vamos a realizar nuestra exposición individual en la Ciudad de México! ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 【Maki Ohkojima Solo Exhibition】 《Sobre los ombligos de este planeta ― この惑星の臍の上で》 En Fundacion Sebastian｜Av.Patriotismo 304, San Pedro de los by Pinos, Ciuda de Mexico 11.Enero.2025 - 09.Febrero Lunes a Viernes de 10:30 a 18:00h Sabados de 10:30 a 14:00h Cerrado los domingos recepción de la exposición 11. Enero 17:00〜20:00 @fundacion_sebastian ＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊ 親愛なる“E” すっかりご無沙汰しているけど、君は元気にしているかな。早いもので僕たちがメキシコに来てからもうすぐ10ヶ月になろうとしているよ。最近のシティの街中はクリスマスムード一色だね。僕らはメキシコは常夏の国だとばかり思い込んでいたけど、12月にもなると夜はそれなりに冷え込んでいて、日本からセーターを持ってこなかったことを後悔しているよ。それにしても同じメキシコにいるというのに、結局、君とはいまのところ会えていないままだ。お互いに忙しいから仕方ないけど、僕らが帰国するまでにはどこかで会えることを願っているよ。 ところで、君が前に僕に教えてくれた本をようやく読んだんだ。オクタビオ・パスの『孤独の迷宮』だよ。なんでもメキシコではとても有名な本らしいね。実際、とても示唆的な内容だった。古い本のようだけど、僕らが今考えていることとも繋がる部分が多くあったよ。教えてくれて本当にありがとう。色々と感想はあるんだけど、特に僕らの心に留まったのはパスがメキシコの「祭り」について書いていた箇所だったんだ。 「祭りの夜の喧騒の中で、我々の声は火花となって爆発し、そして生と死が一つになる。彼らの活力は微笑のうちに石化する」 「我々にとって、祭りは爆発や破裂である。生と死、喜びと嘆き、歌と呻き声がお祭り騒ぎの中で一体となる」 どうだい、この部分、覚えてるかな？ パスはここでメキシコにおいての祭りを「破裂」と言い表しているんだけど、僕らはこの表現をとても気に入っているんだよ。ただ、実を言うと、ちょっと不足もあるように感じていてね。というのも、メキシコにおいてはむしろ、現実そのものがつねにすでに破裂しているように僕らには感じられるんだ。新聞の一面で、SNSの喧騒のなかで、深夜の路地の暗闇で、国境付近の密林で、メキシコでは現実というものが日々その不穏な亀裂をあらわにしている。君はそうは思わないかい？ じゃあ、メキシコにおいての祭りとは本当のところどういうものなのか。それはむしろ、つねにすでに破裂している現実の亀裂を火花のような歓声と怒声で覆い尽くし、それによってその現実を受け入れることを可能にする装置のようなものなんじゃないか、そして、それらは同時に、メキシコの大地を流砂のように覆っている、ある“諦念”の表現なんじゃないか――、パスの本を読みながら僕らはそんなことを考えていたんだよ。 メキシコの破裂した現実、それは政治的、社会的、文化的な意味にとどまるものじゃない。君も知ってると思うけど、そもそもメキシコの大地そのものが地質的な破裂の上に置かれているんだ。メキシコの国土は四つの大陸プレートの境界――言うなれば、この惑星の裂け目の上に位置している。だからこそメキシコには多くの火山があり、地震があるわけだ。たとえばパリクティンなんかはまさにそうしたメキシコの地質を象徴する存在だね。でも、メキシコの大地においてはあれはたった一度きり起こった椿事のようなものでは決してない。メキシコの大地はその地中に潜勢するマグマ、喩えるなら惑星の無意識によって、絶えず震え続けてきたし、今も震えているんだ。 ああ、本当ならこの話は君と会った時に直接したかったんだけど…、もう我慢できそうにないな。だから書いてしまおう。僕らは今、この地質学的事実こそが、歴史的なコンクエストや隕石の衝突にも増して、メキシコの「微笑」（そう、これもパスの表現だよ）を形成してきた基底部をなしている――そう考えているんだ。 突拍子もないことを書いてると思ったかもしれないね。実際、これは一切の裏付けを伴わない直感のようなものだよ。とはいえ、全くの当てずっぽうというわけでもないんだ。君は知らないかもしれないけど、実は僕たちの故郷である日本列島もまた、四つの大陸プレートの境界――この惑星に幾つかある地質的な臍の上〈Sobre los ombligos de este planeta〉にあるんだ。そして、その列島で生きてきた僕たち日本の民もまた「微笑」の民だって言われてるんだよ。（続）2024/12/28に公開- 指定なし5.43%2712フランスはパリのThe CENTQUATRE-PARISで開催中（2025年3月2日まで）のグループ展「La Grande expédition」に私たちも参加しております！ 海洋探査船TARA号の20周年を記念し、セバスチャン・サルガド、ピエール・ユイグをはじめ約40組のアーティストが出展している大きな展覧会で、初日から2000人以上を動員する大盛況となっております。 私たちはエントランスに二つの大きな壁画「土の人」と「海の人」からなる《Nos Origins》という作品を出展しています。壁画には“私たちの輪郭”を形作っている様々な存在を描きこんでいます。壁画脇のQRコードからそれぞれにまつわる物語も読めるようになっています。 出展作品はいずれも素晴らしい作品ばかりですので、会期中にパリを訪れる予定のある方は是非お立ち寄りください！ 《土の人》 人間を意味する〈Human〉の語源は腐植土を意味する〈Humus〉であるという。私たちは土から生まれた“土の人”なのだ。ここでいう“土の人”とは、しかし土の上で生きる人のことではない。その血肉、骨、五臓六腑を土とする人のことだ。同様に、私たちが守るべき“郷土”とは足元を覆うこの大地のことではない。私たちそれぞれの身体が“郷土”そのものなのだ。だからもうこれ以上、“郷土”のために、誰かの命を奪うべきでも、自らの命を投げ出すべきでもない。あなたがあなたとして生きている限り、“郷土”はいつだってそこにあるのだから。 《海の人》 岩肌の不毛の惑星を海と土の生命の惑星へと変容させたのは海中プランクトンたちだった。プランクトンの語源は「さまようもの」を意味する「Plan」というギリシャ語だという。さまよい、ただよい続けること――とどまることを知らないこの動的過程こそが「世界」という現象そのものなのかもしれない。潮風に吹かれながら、私たちもまたこの惑星上をただよい続けてきた。その身体には海を孕み込んでいる。哺乳類の羊水の成分は太古の海水の成分と似ているそうだ。私たちを孕み、私たちが孕んでいる、海。多にして、一なる、海。 〈展覧会情報〉 場所：The CENTQUATRE-PARIS 開催時間： 14時から19時（入場は18時まで） 入場にはチケットが必要で、チケットの当日販売は14時から18時です。 2024年12月24日と31日は早期閉館となります。 展覧会、入場チケットに関する詳細は以下リンクを参照ください＊ https://billetterie.104.fr/selection/timeslotpass?productId=10229283616106 @fondationtaraocean @fondationtaraocean_japan @104paris Works photo by Serge Koutchinsky@fouilletkoutchinsky2024/12/05に公開- 指定なし8.55%4255Fondation Tara Océan! Congratulations on great expeditions 20th anniversary!!! https://www.104.fr/fiche-evenement/la-grande-expedition.html @fondationtaraocean @fondationtaraocean_japan2024/12/05に公開- 指定なし1.61%810大小島真木ウェブサイトにメキシコ旅日誌サンルイスポトシ編をアップしました！ ①～⑦まであります！ https://ohkojima.com/news/news-3123 ＊＊＊＊＊＊ 《サンルイスポトシの青い鹿》① 「新大陸」との遭遇がヨーロッパに伝えたものは多かった。 トウモロコシ、インゲン豆、かぼちゃ、唐辛子、ジャガイモ、トマト、アボガド、パイナップル、パパイヤ、グァバ、ピーナッツ、サツマイモ、ひまわり、ダリア、ポインセチア、コスモス、バニラ、ゴム、タバコ、そして、カカオ。 こう見てみると私たちがこれまで自分たちの「文化」や「伝統」だと思ってきたものが、すでに混ざり物でしかなかったということをあらためて思い知らされる。トマトと唐辛子なしのイタリア料理を想像することは今日の私たちには難しく、じゃがいいもやかぼちゃなしに美味しい煮物を作ることもいまや簡単ではない。だけど、それらの作物はいずれも16世紀以前には新大陸の外には存在しなかった。たった500年前の話だ。 16世紀、アメリカ大陸で5000万人以上の死者を生み出し、惑星規模の寒冷化さえ引き起こしたコンクエストを「悲劇」として以外の文脈において語ることは、あるいは正しくないのかもしれない。ただ、そうした政治的な反省とは別に、私たちがすでにコンクエスト後の世界を、チョコレートと焼き芋と七味唐辛子とピーナッツバターのある世界を生きているという、身も蓋もない現実は動かない。私たちはそれを「悲劇」だと認識しながら、バニラアイスの甘みに舌を蕩かせている。そもそも、その甘露が否定すべき過去から滴ったものだということを逐一意識するような物好き自体、そういるものでもない。 メキシコである人に尋ねてみたことがある。あなたはエルナン・コルテスという人物について今どう考えているんですか、と。彼はしばし沈黙したのち、無表情でこう答えた。 「彼はこの地をコンクエストした人物だよ。それが全てさ」 正確には彼とは英語で話していいたため、最後のフレーズは「That,s all」という表現だったのだけど、そのセンテンスのあまりのシンプルさと、そのシンプルなセンテンスに含み込まれたメキシコの歴史のあまりの複雑さに、返す言葉が見当たらなかった。 メキシコ各地の教会で、磔刑のイエス像やグアダルーペの聖母像を前に跪き、涙を流しながら祈りを捧げているオリヒナリオ（先住民）の人たちを目にした時も同じだった。言葉が見当たらないのだ。 幾重にももつれあった歴史の糸の先端で今日も私たちは生きているという現実、それを肯定するでも否定するでもなく、ただ受け止めることしか、ひとまず私たちにはできない。でも、せめてもう少し、知りたいと思う。バニラアイスのまったりとした甘味に潜んでいる雑味を、「That,s all」の含蓄を、もう少し、感じたいと思う。 私たちは旅に出ることにした。チアパスからメキシコシティへ越してから一ヶ月、私たちが向かったのは、かつて世界の銀の半分を生産していたというメキシコにおける銀鉱山貿易の中心地の一つ、メキシコ中北部に位置するサンルイスポトシ州だった。 ＊＊＊＊＊＊ 続きはこちらから↓ https://ohkojima.com/news/news-3123 #mexico #realdecatorce #sanluispotosí2024/12/01に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/mexico#mexicohttps://www.instagram.com/explore/tags/realdecatorce#realdecatorcehttps://www.instagram.com/explore/tags/sanluispotos#sanluispotos4.02%2002¡El 4 de diciembre a las 17:00 horas, nuestra obra cinematográfica de corta duración 《千鹿頭 CHIKATO》, realizada en la región de Suwa, en la prefectura de Nagano, Japón, se proyectará de manera especial en el cine de la Escuela Nacional de Artes Cinematográficas de la UNAM en Ciudad de México! Nos entusiasma mucho saber cómo llegará el animismo del cinturón volcánico del archipiélago japonés, que intentamos capturar en esta obra, al público de la Ciudad de México. Tras la proyección, habrá una charla con Nori, la organizadora de este proyecto.La entrada es gratuita para todos, así que si viven cerca de la ciudad, ¡los invitamos cordialmente a acompañarnos! 📽 4 de diciembre, 17 hrs 📍 Sala Manuel González Casanova 🎟️ Entrada libre 12月4日17時よりメキシコシティUNAMの映画館〈Escuela Nacional de Artes Cinematograficas UNAM〉において、長野県諏訪地域を舞台に制作した私たちの短編映像作品《千鹿頭 CHIKATO》が特別上映されます！ 私たちがこの作品で捉えようとした日本列島の火山帯アニミズムが、メキシコシティの人々にどう届くのか、楽しみです！ 上映後に本企画をしてくださったNoriさんとトークも致します！どなたでも入場可能とのことなので、シティ近郊にお住まいの方がいらっしゃいましたら是非お越しください！ @pueaaunam @norinho1030 #UNAM #chikato #shortfilm #cortometraje #japan #suwa #対話と創造の森2024/11/30に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/UNAM#UNAMhttps://www.instagram.com/explore/tags/chikato#chikatohttps://www.instagram.com/explore/tags/shortfilm#shortfilmhttps://www.instagram.com/explore/tags/cortometraje#cortometrajehttps://www.instagram.com/explore/tags/japan#japanhttps://www.instagram.com/explore/tags/suwa#suwahttps://www.instagram.com/explore/tags/対話と創造の森#対話と創造の森3.1%14610テマスカルとメキシコの祈り② そんなサンクリストバルで私たちはヴァレンティーナともに子供を産んだ。彼女が何よりも大事にしていたのはイメージの持ち方で、イメージこそが現実を生み出すのだと彼女は強く信じていた。そのイメージを養うためにも彼女は産前産後を通して多くのセレモニーを私たちのために執り行ってくれた。テマスカルもそうしたセレモニーの一つだった。 ヴァレンティーナの自宅の庭に共に設えたテマスカルに、その日、私たちを含む5組の家族が一緒に籠った。密閉されたテントの中に焼石が運び込まれるたびに放たれる「Bien Venido」の掛け声。やがて大地の母胎に見立てられた空間内を熱いスチームが満たしていった。強烈な熱気だ。たちまち毛穴から汗が溢れ出す。酸素も薄い。 環境の急激な変化を感じた赤子たちが示し合わせたように一斉に母の乳房に吸い付きはじめた。その光景に、富士の麓にあり、山岳修験者たちの儀礼の場でもあった船津胎内樹形型洞窟を探索した時の記憶が蘇る。あの洞窟の内部には乳岩と呼ばれる岩群があるのだが、そこに滴る地下水を当時の修験者たちは母乳と見立てて口にしていたそうだ。その儀礼もまた「胎内巡り」と呼ばれていた。 小さな母胎の内部にヴァレンティーナのマヤ語の歌声が響き渡る。焼石を中心に車座になって座っている私たちもその歌声に追従する。歌声が溶け合っていくのに合わせて、私たちの輪郭もまた大量の汗と一緒に溶け出し始めていた。とても熱いのにどこか海の中にいるような感覚がある。初めて入ったはずなのになぜだか懐かしさのようなものを感じる。 どれくらいの時間が経ったのだろう。小さなテントの入り口を潜り抜けて外に出たとき、燦然と輝く世界に眩しさを感じた。風の冷たさに汗に濡れた肌がにわかに引き締まる。私の輪郭が閉じていくのを感じる。擬死再生、だなんて言えば、少し大袈裟ではあるけれど、心身において何かが少しだけ組み直された感じがあった。ほんの小さな死、そして、ほんの小さな再生。少なくとも、そういうイメージがあった。 ＊ メキシコにおける「死」について、オクタビオ・パスが書いた文章を読んだことがある。 パスは、メキシコ人とは、メキシコにこれでもかというくらいに溢れている豊かな死の表象とは裏腹に、死に対して、そしてそれゆえに生に対して、どこまでも無関心な人々なのだと書いていた。その根底にパスが見ていたのは、メキシコ人が共有しているという「諦め」の観念だった。 パスの洞察がどれくらい的を得ているのかは分からない。けれど、私たちはメキシコ人のそういうところに、私たちとどこか似たものを、同じ穴のムジナさを感じてもいる。本居宣長が「この世に死ぬるほど悲しき事は候はぬ也」と書いたとき、多分、宣長はパスと同じ感覚を共有していたように思う。死はたんに悲しいのであって、それ以上でも以下でもない。宣長の言葉にもまた深い「諦め」が滲んでいる。 ただ、日本語の「諦める」という言葉が「明らかにする」という言葉と語源を同じくしているという説があるように、「諦める」ということはパスが考えていたほどに、決して投げやりで無責任な態度とは言えないのではないだろうかとも思う。少なくとも抗いようのない大地の荒ぶりと共に生きてきた私たちにとって、それはこの世界に生きているということに対する真摯な洞察に基づいた、一つの知恵のようなものだったのではないだろうかとも思う。そして、そうであればこそ、私たちは小さく「祈る」。日々、小さく死にながら、小さな再生を「祈念」する。「祈り」とは、ある一つの、世界との関わり方に他ならない。メキシコの「諦め」の向こうには無数の「祈り」が煌めいている。 テマスカルの余韻に浸りながら、メキシコの大地に千と咲き乱れる「祈り」の花々を、もっともっと集めてみたいと思った。それは多分、芸術と呼ばれているものの深淵を覗き込むことにも繋がる。メキシコ――イメージが横溢するセノーテの、その奥底へ。小さな命を引き連れてどこまで深く潜れるかは、まだ分からないのだけれど。 @parteria_utsinel2024/10/15に公開- 指定なし7.66%3832テマスカルとメキシコの祈り① 日本語では熱い水のことを「ゆ」という。実はこれは珍しいことらしい。英語で「ゆ」は「Hot Water」、スペイン語では「Agua caliente」、フランス語では「Eau Chaude」、いずれも「熱い」と「水」を組み合わせた言葉でしかない。英ラテン語系統の言語のみならず、タガログ語でもスワヒリ語でも韓国語でも、「ゆ」はただ「熱い」と「水」という二つの言葉を組み合わせた形で名指されている。私たちが探してみた限り、今のところその例外は日本語以外にほぼない。 ではなぜ日本語では例外的に、「ゆ」が冷水であるところの「みず」と語根や音韻ともに全く異なる言葉で名指されているのだろうか。多分、その深層には、「ゆ」に対して、とりわけ地熱によって熱く煮えたぎる地下水、今日も私たちを虜にしている温泉の「ゆ」に対して、古くから日本人が抱いてきた宗教的なイメージがある。 今日も日本各地に残る「湯立て神事」などにおいても見られるように、地熱の伴った「ゆ」にその身を浸けることは日本人にとって格別な意味合いがあった。ありていに言えば、それは擬死再生を願う儀礼のようなものだった。大地の母胎から溢れ出した温かな羊水に身を包み、再び生まれる前の胎児の状態へと返り、そしてもう一度、この世界に蘇る。ひとっ風呂浴びてリフレッシュ、という日本では一般的に共有されている感覚の根っこには、こうした擬死再生への祈念が、多分ある。 そして、そうした信仰を育む土壌となったのは、まさに日本列島に特有の地質、地形なのだ。四つの大陸プレートの境界に位置し、多くの断層を有する火山帯のこの列島においては、火を噴き、揺らぐ大地への抜き差しがたい畏敬の念がおのずと育まれた。その荒ぶる大地から地中の熱を伴って湧き上がる「ゆ」に、恵みであると同時に脅威でもある大地の両義的な霊力を媒介する物質としての性質を見定め、「みず」とは明確に区別された語彙を与えずにはいられなかったということは、この列島に暮らす人々であれば、直感的に理解できることでもあるように思う。 実はこの話は私たちが今回の滞在先をメキシコに決めた理由の一つとも関係している。ここ数年、地形や地質が文化や信仰に与える影響に関心を抱いてきた私たちにとって、日本と同様に四つの大陸プレートの境界に位置し、それゆえに多くの火山を有する地震大国であるメキシコは、どこかこの惑星の反対側に生きる地質的な姉妹であるかのようにも感じられていた。地質的境遇を共有するメキシコの文化信仰、そして何よりその地で生きてきたメキシコ人たちのコラソンに、もっと深く触れてみたい、そう思ったのだ。 事実、メキシコにも日本と同様に大地への、そして大地が孕む地熱への信仰があり、そうした信仰に基づいた擬死再生の儀礼風習がある。ただし、それは日本のように「ゆ」に身を浸すことによってではない。その儀礼は大地の子宮に見立てられた半地下状の穴蔵で行われる。メキシコではその穴蔵をテントで覆って密閉し、その内部に置かれた焼石に水を注ぐことで空間を熱の蒸気で満たし、そこに人々が籠る。テマスカルと呼ばれるそれは、世界最古のスチームサウナの一つと目されている。 ＊ 私たちをテマスカルに招待してくれたのはヴァレンティーナだった。本当なら、その儀礼は妊娠38周目の出産直前に行われるはずだったのだけど、予定より出産が早まってしまったため、出産から一ヶ月後に赤子と共に行われることになった。 ヴァレンティーナは私たちのパルテーラ（助産師）だ。サンクリストバルで生まれ育った彼女自身はいわゆるメスティソであり、この地に多く暮らすマヤ系先住民とは出自が異なる。加えて彼女は産科医の母を持つ。それなのにヴァレンティーナが母と同じ医学の道ではなく、マヤ先住民に古くから残る伝統的な助産術を学び、パルテーラとして生きる道を選んだということを、ともすると奇異に思われる人もいるかもしれない。ただ、サンクリストバルに暮らしてみると、ヴァレンティーナのその選択がごくごく自然なものであったということが、ただちに了解される。サンクリストバルはメキシコ政府に認定されたプエブロ・マヒコ（魔法の村）のひとつ。その称号にどれほどの意味があるのかは果たして分からないが、この街では至るところで豊かな種の薬草類が売られていて、それらがごく当たり前に用いられている。たとえば、喉が痛いと誰かに伝えれば、その人は即座に近くからブーゲンビリヤの花を詰んできて、湯で煎じて飲ませてくれる。この街では一事が万事、そんな具合なのだ。 （続） @parteria_utsinel2024/10/15に公開- 指定なし5.59%2792それは1997年に起こった。 12月22日、チアパス州の中央部、ツォツィル系の先住民が多く暮らすチェナロと呼ばれる村にあるアクテアル教会では、その日、多くの住民たちが、その地の平和を願う祈りを静かに捧げていた。銃声はそこに鳴り響いた。気づいた時にはすでに教会は完全に包囲されていた。次々に雪崩れ込んでくる武装した男たち。物々しい銃器を前にした彼らになす術はなかった。あるものたちは隙をついて森へと逃げ込んだ。だが、多くのものは逃げ出すことさえできなかった。 彼らはラス・アベハス(日本語でミツバチの意)と呼ばれる先住民を中心とする非武装の政治組織のメンバーとその家族たちだった。その日、チェナロのミツバチたち45名が、このアクテアル教会で虐殺された。殺されたものの大半は女性と子供だった。発見されたある妊婦の遺体には腹部が切り裂かれた跡があり、その傍らにはマチェーテで切り刻まれた胎児の遺体も横たわっていた。 1994年1月1日、先住民の暮らしを圧迫するNAFTAの発効に抗い、このチアパスの地でサパティスタ民族解放軍が武装蜂起を起こしたあの日から、まもなく4年が経とうとしていた時のことだった。 虐殺を行ったのはメキシコにおいてパラミリタレスと呼ばれる準軍事組織のメンバーたちだった。嘆かわしいことにアクテアルを襲撃したパラミリタレスのメンバーは、彼らと同じツォツィル系の先住民だった。彼らの目的はサパティスタをはじめとする反政府組織の動きを妨害すること。その上で標的となったのは、結成以来、非武装を貫き、その旗に「PAZ(平和)」の文字を掲げていた、ラス・アベハスのメンバーたちだった。 その後、惨劇の舞台となったアクテアル教会は一度取り壊されたが、今日、その土の上には新たな礼拝堂が建てられている。礼拝堂の床面が張られておらず、地面の土が剥き出しのままにされているのは、いまだ真の解決を見ていないこの事件を決して風化させてはならないという、ラス・アベハスの誓いの表明でもある。ラス・アベハスは現在に至るまでチェナロで自治を続けている。あの事件の後も掲げられた「PAZ(平和)」と非武装の理念に揺るぎはない。 ラス・アベハスの創始者の一人を父にもつタッチョによれば、今日もアクテアルを取り巻くパラミリタレスの脅威は継続されているという。事件後、逮捕された犯人たちのうち20人は、その後の2008年に証拠不十分との最高裁判所の判断により釈放されており、彼らは今もラス・アベハスの自治エリアの近隣に暮らしている。パラミリタレスの活動はひとえに経済的な動機に基づく。そこに金を投じている誰かがいるのだ。 現在、ラス・アベハスの女性たちはツォツィルの伝統的な織物を織り、それらを販売することで、自治区運営のための資金としている。ただ、織り手は徐々に減少しているそうだ。政府が行なっている織物職人への支援を受給するにあたり、ラス・アベハスのメンバーであることがその資格の消失を意味するからだ。同様の状況がサパティスタにおいても生じているらしいことは、すでにサパティスタのメンバーからも聞き取っていた。 「それでも状況は良くなってきている?」 その問いにタッチョは首を横に振った。 「変わっていないよ、何も」 アクテアル教会へと向かう道のほとりには、虐殺の苦しみに呻く人々の姿を彫像した慰霊塔が建てられている。事件後にデンマーク人の美術家であるイェンス・ガルスキオットが制作した「恥の柱」と呼ばれる彫刻作品だ。事件から27年、今日では滅多にアクテアルを訪れる人はいないそうだが、毎年12月22日には失われた45の命を悼む盛大な式典がここアクテアル教会で催されている。 （一枚目の写真は事件の際に弾丸を受けたマリア像）2024/09/16に公開- 指定なし4.89%2451サンクリストバルからコレクティーボを乗り継いで約5時間、チアパス南部、グアテマラ国境付近のラカンドン密林へ。 周辺にはパレンケ、ヤシュチラン、ボナンパクなどのマヤ文明の大型遺跡が点在するこの密林エリアは、少なくともここ数世紀にわたってはマヤ系先住民の1グループであるラカンドン人たちの暮らすエリアとして認識されてきた。 長く狩猟採集を中心としていた彼らの生活様式が大きく変化したのは、1979年に道路が開通されたことを機にしている。現在の人口は1000人未満。今日、ほとんどのラカンドン人は、伝統的なマヤの信仰ではなく、キリスト教を信仰している。 今回、私たちが向かったのは、ラカンハ、そしてナアと呼ばれる彼らの村だった。特にナアは現代ラカンドンにおける最大の指導者であったチャンキン・ビエホが暮らしていた村でもある。すでに20年以上前に亡くなられているが、村には今でもチャンキン・ビエホの子供たち、孫たちが多く暮らしている。 その中の一人、ラカンドン最後のシャーマンの一人であるアントニオ・ビエホのご自宅に伺い、お話を聞かせていただくことができた。齡90を超え、この村が変わりゆく様を見つめてきただろうビエホの瞳は深く、またどこか憂いのようなものを帯びているようにも感じられた。かつては様々なところに出かけて伝統的な儀礼を行なっていたが、現在は足腰も弱り、また求める人もほとんどいないため、儀礼をする機会も少なくなっているのだと、ビエホは少し寂しそうに語っていた。 かねて私たちが関心を抱いていた、ラカンドン人の伝統的な樹皮布の衣装についても話を聞くことができた。 ラカンドンの文化において樹皮には長らく特別な意味が与えられてきた。それは、彼らが儀礼の際に纏う衣装が樹皮布によって織られたものであること、現地の言葉で樹皮を表す「sol」という言葉が同時に魂と区別された人間の身体を表す言葉でもあるということ、そして儀礼の際に飲まれるバルチェという飲料がハチミツと樹皮を発酵させたものであることなどからも窺える。 あるいは、ラカンドンには次のような預言も伝えられている。 「森の樹々が刈られるとき、空から星々が堕ちてくるだろう」 樹々に囲まれ、樹々と共に、樹々を纏って生きてきたラカンドンの人々の信仰においては、樹々の命が人々の命、そしてこの森の命と連動し、それははるか天空の星々の運行とも連動するものとして捉えられていたのだろう。密林の華厳。そう言えば、ナアでは密林内にある二つの湖についても、かつて星がこの地に降りそそいだ際にできたものであるという風に語られていた。 ラカンドンの儀礼用の樹皮布の衣装には、赤いドットのような紋様が描かれていて、その紋様を描くこともまたアントニオの役割だった。アントニオによれば、そのドットは「ジャガー」を表したもののようで、かつての儀礼の際には顔や腕にも同様のペイントを施していたという。だが、この儀礼用の樹皮布の衣装もまた現在はつくられていない。今日、その衣装を見るためにはサンクリストバルにある博物館や資料館を訪れる必要がある。 アントニオにお願いし、5月に生まれた子供のためにリンピオ（浄化）の儀礼も行なってもらった。神々を模った香炉でコパールを焚き、ビエホが祝詞を唱えながらクサテと呼ばれるヤシの葉を香炉の火で燻る。そして最後に、その葉を赤子の体に擦りつけていく。この儀礼の方法は、ツォツィルやツェルタルの人たちが教会で行っている儀礼ともよく似ていて、広大に及んだマヤ文明の面影を感じさせてくれるものだった。使い込まれ、原型が分からないほどに真っ黒に焼け焦げた香炉に、アントニオが生きてきた時の長さを思った。 翌日には密林の中でラカンドンの樹皮布に用いられてきたakjunと呼ばれる樹も見せてもらった。学術名称はpoulsenia armata。この樹はまたマヤ文明の古文書であるコディセが描かれたアマテ紙と呼ばれる樹皮紙の素材でもある。樹皮を聖視する文化は古代から連綿と受け継がれたものなのだろう。 ラカンドンの人々の祈りにも似た預言に応えてなのかは分からない。現在、ラカンドン密林の大部分は政府によって自然保護区に認定されている。管理を担っているのはラカンドンの住民たちだ。それは今日、彼らの新しい生業ともなっている。 村の教会脇の待合場で帰りのコレクティーボを待っていたら、アントニオのまだ若い孫息子がちょうど通りかかったので少し話をした。今、彼はアントニオの傍らでラカンドンの伝統儀礼について勉強しているという。「見ながら少しずつ学んでるんだ」。そう言って彼は気恥ずかしそうにはにかんだ。 残された時間は限られている。だが、たとえ僅かだとしても、まだなしうることは、多分ある。 密林の空から星々が降りそそぐその前に。 〈SPECIAL THANKS〉 パレンケ遺跡から始まったこの旅を私たちと共にしてくれた、ミキさん、ケイコさん、キョウコさん、ショウゴさん、ジュンちゃん、スイちゃん、アキラくん、そして唐突な訪問だったにも関わらず私たちを快く迎え入れてくれたアントニオ・ビエホと家族の皆さんに、深い感謝を。 #Lacandon #Mexico #nabolom2024/09/05に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/Lacandon#Lacandonhttps://www.instagram.com/explore/tags/Mexico#Mexicohttps://www.instagram.com/explore/tags/nabolom#nabolom6.18%3110《お知らせ》 現在、大小島真木のウェブサイトに関して、検索エンジンからサイトのトップページへのアクセスを行おうとすると別サイトに飛ばされてしまうという報告を多数受けております。こちらでもその症状は確認しており、現在、システムの修復のための作業を行なっているところです。 現段階では検索からのアクセスを行いませんよう、お願い申し上げます。 We have received numerous reports that attempting to access the top page of Maki Ohkojima's official website through search engines redirects users to another site. We have confirmed this issue on our end as well and are currently working on system repairs.2024/09/02に公開- 指定なし3.88%1932ウィピルを着た聖母マグダレーナに一目会いたくて“Aldama Magdalena Fiesta”へ。 ツォツィルの伝統衣装であるウィピル。マヤ文明時代の痕跡をその紋様群に未だありありと留めながら、村々のの女性たちの手によって織られ、刺繍され、纏われてきたこの織物が、この日、かつて西洋からこの地に運ばれてきたマグダラの聖母像を幾重にも覆い、彩っていく。複雑な歴史のなかで混淆を重ねてきたこの地の信仰の現在形。侵略の傷も、植民地支配の絶望も、和合の矛盾も、その全てを抱擁するように屹立するマグダレーナ聖母の姿は、だけどとても美しくて、直線的な言葉ではとても表しきれない、威厳と慈悲をたたえていました。 Aldamaの教会の中では琥珀の香が焚かれ、一面の蝋燭と無数の花々が祝祭の空間を神秘的に彩っていました。一方で人々はチアパスの地酒であるポッシュを飲みながら陽気に歌い踊っていて、一年間で最大の祭りの日を心から楽しんでいるようでした。教会の祭壇にはウィピルと同じ「Mundo」を表す文様が施されたテキスタイルが掲げられていて、その中央にはクロスが刺繍されていました。ウィピルのイコノグラフィアにおいて、クロスは元々は「大地の臍」を意味する紋様だったと言われていますが、現在においてはそれがカトリシズムにおける十字架と重ねられています（写真はAldamaの近くの街Larrainzarの教会で同様のテキスタイルを撮影したもの）。祭壇の前に膝をつき、涙を流しながら祈りを捧げる人々の後ろ姿に、かつてコルテスがメキシコにキリスト教を持ち込もうとした際に、トラスカラの貴族がコルテスに放ったとされる言葉が脳裏をよぎりました。 「私たちの神々を持ち去ったり移動させたりすることなく、その中にあなた方の神を据えればよい。私たちはその神にも仕え、歌い、祠や神殿を建てようではないか。私たちが他所から連れてきた神々と同じように、その神も我々の神としようではないか」 Aldama の伝承においては、かつてマグダレーナのマリアは村の大樹の中に出現し、村の女性たちにウィピルの織り方やデザインを教えたと言われています。メキシコにはグアダルーペの黒聖母を始め、様々なヴィルヘン（聖処女）の伝承が各地に残っているのですが、侵略と征服と虐殺によって歴史も文化もバラバラに裁断されてしまったメキシコの大地を今日に至るまで織り直しつづけてきたのは、彼女たち異形のマリアの細い指先だったのかもしれません。 ウィピルを着た聖母マリア、そしてそのマリアの御許に生きるAldamaの人々に、惜しみない敬意を。 #magdalena #tzotzil #aldama #chiapas #huipil #mexico2024/07/25に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/magdalena#magdalenahttps://www.instagram.com/explore/tags/tzotzil#tzotzilhttps://www.instagram.com/explore/tags/aldama#aldamahttps://www.instagram.com/explore/tags/chiapas#chiapashttps://www.instagram.com/explore/tags/huipil#huipilhttps://www.instagram.com/explore/tags/mexico#mexico6.5%32346月23日よりアンテルーム京都｜GALLERY9.5にて開催中（9月17日まで）の展覧会〈art bit - Contemporary Art & Indie Game Culture - #4〉に参加しています！ 今回は映像作品、絵画作品、陶器作品からなるインスタレーション《私ではなく私ではなくもなく》を展示させていただいています。本作品の関西エリアでの出展は初めてとなりますので、是非この機会にご鑑賞ください。なお映像作品〈Re-Forming《I》〉は40分ほどの長さとなっております。ご都合など事前に調整いただいた上でご来場くださいましたら幸いです。 本展の大きなテーマは「アートとゲーム」ということですが、ゲームにおけるビジュアル表現にはかねてハッとさせられることが多くありましたし、ゲームのもたらす例外的な没入感は広く「表現」であったり、現代における「呪術」というものを考える上でもとても興味深いものだと感じています。 今回、私たちはメキシコに滞在中のため会場に赴くことはできないのですが、一般的な美術のグループ展とはまた異なる作家陣、キュレーションの中で自分たちの作品がどのように鑑賞されるのか、されうるのか、とても楽しみです。 しかも入場料は無料とのこと！ 皆さん是非！ 展覧会概要 名称：art bit - Contemporary Art & Indie Game Culture - #4 会期：2024年6月23日（日）〜9月7日（土）10:00～20:00 会場：ホテル アンテルーム 京都 l GALLERY9.5 入場料：無料 @anteroom_kyoto2024/07/18に公開- 指定なしhttps://www.instagram.com/explore/tags/4#43.28%164112>次へ×インフルエンサーコンテンツCSVダウンロードフォロワー総数、フォロワー増減数、エンゲージメント数、エンゲージメント率ダウンロード※ データには投稿ID, キャプション, LIKE数, コメント数の他、投稿日, 投稿URL, Reel再生数, Reel動画尺, スクリーンネーム, 名前, 自己紹介, フォロワー数, ユーザーURLが含まれます。 コンテンツをCSVでダウンロード
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