採食エンリッチメントとは？
「採食エンリッチメント」とは、動物が食べ物を得る・食べる行動（＝採食行動）を、より自然に・多様に・刺激的にできるように工夫することを指します。
つまり、ただ餌を与えるのではなく、動物が「探す」「壊す」「工夫して取り出す」などの行動を引き出すように餌の与え方を変えることです。

例：
餌をおもちゃ（パズルフィーダー）の中に隠す
木の皮の間や筒の中に餌を入れて、自分で取り出させる
餌を園内のいろいろな場所に隠して探させる
空から吊るしたり、地面に埋めたりして与える
なぜ採食エンリッチメントを行う必要があるのか？

動物園の動物たちは、野生と比べて環境が限られています。野生では、採食は一日の多くの時間を占める重要な行動ですが、動物園では簡単に食べ物が手に入るため、採食時間が極端に短くなりがちです。
その結果、退屈やストレスがたまり、次のような異常行動（常同行動）が出ることがあります。

同じところを何度も行ったり来たりする
舌を出し入れする・体を揺らすなどの反復行動
攻撃的になったり、無気力になったりする
採食エンリッチメントを行うことで：
自然な採食行動を引き出せる
退屈やストレスを減らせる
心身の健康や福祉が向上する
観察する来園者にとっても、より自然な行動が見られる
といった多くの効果が期待できます。